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とちとこReport vol.3

今回のレポートは、東明館がSociety5.0に対応する学校になるために行っている授業の実践集です!ぜひご覧ください♫


「Society5.0」とは

まずSociety 5.0について、説明します。
Society 5.0は、日本が提唱している新しい社会の形として考えられており、「第5の社会」を意味します。人間の社会がこれまでに経験した大きな変化を、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)と数えてきたとすると、次に来る社会がこのSociety 5.0です。

このSociety 5.0で重要なのは、「AI(人工知能)」や「IoT(モノのインターネット)」、「ビッグデータ」などの技術を用いて、新たな価値を生み出すことです。より安全で、便利で、公平な社会を実現することが目指されています。

例えば、AIを使って人々の生活をサポートしたり、災害時の救助活動を助けたり、病気の診断をしたりしますが、最近では、「生成系AI」の登場により、あらゆる好奇心や想いを実現することができるようになりました。
また、IoTを使って都市の交通渋滞を解消したり、エネルギーの消費を効率化したりします。これらは全て、人々の生活を良くするための取り組みです。

Blockade Labsで360°の田園風景を制作
ChatGPTでコード進行を作成


Google App Scriptを用いた業務自動化の例

これらの時代に求められるのは、価値を見つけ出す感性や、好奇心・探究心だと言われています。また、より機械的に行われていたことが自動化されるため、人間らしさ(五感を使うことや人と関りあうこと)を出すことができるような時代になっていくと言われています。

「Society5.0での学びや学校のあり方」とは

Society5.0は先ほどAIやIoTが人間社会をより豊かにすると紹介しました。これまでの学校の授業は全員が同じ内容を同じペースで学ぶというスタイルが主流でした。しかし、全ての生徒が同じペースで学べるわけではないため、ここには改良の余地がありました。そこで現れたのがAIの力です。

AIはそれぞれの生徒の理解度を把握し、個々に合った最適な学習プランを作成できるため、「一斉に同じことを同じように」という形から、「自分で自由に進度を調整していく」ことができるようになりました。
これによって、生徒たちは自分のペースで、自分に合った方法で学ぶことが可能となり、自身で考え、行動する力も身につけることができるようになりました。
そして、私たちはこれからSociety5.0の時代を迎えます。この時代では、新しいことへの挑戦と他者との協働・共創がますます重要となってきます。Society3.0以降かなり速いスピードで社会が変化しているように、これから先が見通せない未来を予測することは難しいですが、Society5.0の世界では、自身の創造力と行動力で未知の世界を切り開いていくことが期待できます。
1人ひとりが人生の主人公となり、学んだことを活用して、自身だけの未来を創造できる、それがSociety5.0の世界であり、
そのための学校Ver3.0では、
「個別最適化」
「より分析的に思考するための考え方」
「未知の世界に挑戦する好奇心」
「他者と共に生きることの実感」
「モノを創り上げる力」
を行うことが必要とされています。

文科省は、さらに、2023年3月に次期教育振興基本計画についての答申で「Society5.0で活躍する、主体性、リーダーシップ、創造力、課題発見・解決力、論理的思考力、表現力、チームワークなどを備えた人材の育成」と答えています。今回は、この答申で書かれていることの中で東明館が実践している個別最適な学びや主体的・対話的で深い学びなどについて一部にはなりますが、紹介していきたいと思います。

次期教育振興基本計画について

東明館 授業紹介①(~個別最適な学び~)

東明館中学校では、AI型教材「Qubena(キュビナ)」を使った授業を行っています。一般的な学校で受けていた授業スタイル、いわゆる座学で黒板のほうを向いて先生の授業を聞くのが辛いと感じている生徒にとっては、授業スタイルの選択肢が増えたのはとても良かったと思います。
授業のやり方としては、まず、先生たちが最初の10分~15分間で、その日の授業の要点を生徒たちに話します。残りの時間は、「クラス内・クラス間の好きなところで、好きな友だちと勉強してもいい」というルールを決め、生徒たちの自主性に任せます。1組・2組を行き来できるようにしているので、クラスの違う友だち同士が学び合う光景もあれば、1人で学習する光景もあります。先生の授業をもっと聞きたいという生徒もいるので、少人数の授業をする場合もあります。

先生から教わる様子
何人かで学ぶ様子
1人で学習する様子

東明館 授業紹介②(~歴史総合~)

東明館高等学校の歴史総合の授業では、今年度、教養ハウス・国際ハウス・探究ハウスの学び方に合わせて授業を行っています。今回は探究ハウス向けの歴史総合の授業をご紹介いたします。

授業の一例
明治時代の日本の産業革命を象徴する風刺画または
ポスターを制作してください。
風刺画またはポスターは、
この時代に重要な「技術」、「産業」、「政策」、「教育制度の変化」
のいずれかを選択し、制作しましょう。

優秀賞の作品
数式などが顔に刻まれた人が檻から出られない様子を示しています。当時のSociety3.0の時代は一斉教育システムにより、皆が一定の知識を同じように学んでいくスタイルでした。現代社会では、様々な学び方や学ぶ幅が広がっていますが、当時は決まった学び方から抜け出すことができなかったということをこのように表現しています。この風刺画は今後、基山駅に展示させていただく予定です。

その他、寸劇やニュースづくりなどを行いアウトプットの手法をたくさん経験しながら、自分が得意なことを模索していきます。最終的には、Kindle版で歴史から学ぶ本を制作したいと考えており、ただ知識を得るのではなく、知識を得た上で活用し最終的にはいろんな方にみてもらえるようなことを考えながら授業を行っています。

協働的な学び

このような授業が毎週行える理由は、学び方を変えているためです。
これまでのような教員がチョークを使って板書して、生徒はノートに写したりしながら聞く授業(インプット型)を一生懸命行おうとすれば、膨大の量の内容を終わらせることはかなり時間がかかり、時間が足りないことはイメージがつくと思います。電子黒板で授業をしたとしても、それは変わりません。

では、どのようにして活用型・探究型の授業を行なっているのでしょうか。

それは、反転学習を応用することです。

学んでいる知識レベルは人それぞれなので、足並みを揃えて学ぶこと自体が難しくなっているからこそ、各自動画やウェブサイトなどを見て知識を先にインプットしておくような形を取ることで個別最適な学びを促します。

学校では、得た知識を混ぜて、新たな価値を創造していく、トピックベースの学びを提供しています。そうして、効率よく学んだことをもとに学校で活用する反転学習が成立していきます。こういった形を取ると、毎単元の授業でインプット学習のための授業を省略し、いきなり創造・探究していく授業が行えます。

インプット学習にかかる時間(総時間)
板書で一斉授業 > スライドで一斉授業 > 自分のペースで学ぶ

参照:経済産業省「未来の教室」プロジェクトについて

東明館 授業紹介③(~生物基礎~)

生物基礎の授業では、毎週4コマを活用し、畑での学習を進行しています。

畑では生徒たちは約4人一組となり、特定の野菜を自ら育てています。
野菜の育て方や苗の植え方、発芽の手法、さらに害虫対策や病気への対応方法については、生徒たち自身が実例を参照しながら調査しています。

研究して上手く栽培できている様子

雨天の日も、カッパと長靴を装備し、共に畑へと向かいます。この畑は、地元の方から無償で提供されたもので、面積は約1300平米です。

地元の方からお借りしている畑

また、畑には全員で手入れするサツマイモのエリアもあります。毎年ゴールデンウィークに苗を植え、11月頃には全員で収穫し、学校の裏庭で焼き芋大会を開催します。今年度は地域の方々も巻き込んで焼き芋大会が開催できればと思っています。

そして今後は、自らの作物を商品化して収益を生み出すなどの活動にもチャレンジしたいと考えています。

生物基礎での授業風景

東明館 授業紹介④(~Global Study~)

グローバルスタディという授業では、海外への留学や、異文化理解のための入門的な学びを行っています。今回は、その授業の一部として、「Introduction to Study Abroad (留学入門)」・「Introduction to Intercultural Understanding (異文化理解入門)」をご紹介いたします♫

異文化理解講座の様子

「Introduction to Study Abroad (留学入門)」

 充実した留学経験を実現するためには「事前準備」が不可欠です。この学びでは、その準備として、異文化理解や多様性を受容するグローバルマインドを育てていきます。海外渡航の際に想定されるリスクを正しく理解し、自身を安全に保つ方法を学ぶと共に、母語だけでなく外国語でも自分の思いや意見を「表現する」スキルの向上を目指しています。
さらに、海外派遣や留学を自身の学習経験の中に有効的に位置づけることで、留学が単なる体験ではなく、有意義な学習の機会となるように、自らが留学の学びを「デザイン」する方法を考え、具体的なアクションプランを作る機会を提供します。

「Introduction to Intercultural Understanding (異文化理解入門)」

私たちの世界は、文化によって異なる多様な価値観に溢れています。この学びでは、母語・外国語の視点からコミュニケーションを通じて、これらの価値観について相互理解を深めるための基礎を学びます。具体的な異文化コミュニケーションのケーススタディを通じて、他者を理解し、共感する技術を身につけます。そして、異文化理解の理論的枠組みを習得し、実践的な学びの場を提供します。主に、異文化への感受性を発達させ、その高まりを実感できるための具体的な準備を行います。学んだ知識を生かして、異なる文化背景を持つ人々との有意義な交流を可能にします。

English Dayの様子

このように私たちは学校Ver3.0へ向かっていき、生徒の皆さんのWell-beingを実現するための教育活動を行っていこうと思っておりますので、これからもよろしくお願いいたします🎵

次回は、自律自走・相互承認・創造に関する実践紹介をしていきますのでぜひお楽しみに!


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