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東明館が目指す「対話で変わり続ける学校」の姿とは

 東明館中学校・高等学校 教頭の福島正です。

2022年度の東明館は「対話で変わり続ける学校」を目標に掲げています。
そもそも、なぜ東明館は「変わり続ける」必要があるのでしょうか。
教頭の立場から説明させていただきます。


私は東明館の開校2年目の1989年、新卒の教師として着任しました。
以来、担任や学年主任、入試広報や部長職も経験し、2020年からは教頭として学校運営にも携わっています。 

東明館はもともと、医学部に合格できる高校を目指そうと、鳥栖市の歯科医師会などによって創設された経緯があります。
そのため、世間の皆さまが抱く東明館のイメージと言えば「士業や医者の子どもが通う進学校」です。
実際、東京大学に京都大学、一橋大学への合格者を多数輩出する学校として実績を上げました。
私も当時は、いち教師として非常に誇らしく思っていました。 

しかし、時代が進むにつれて教育も多様化が進み、東明館の在り方が問われるようになってきました
当時の校長は「時代に即した教育を取り入れないといけない」と言っていましたが、私やほかの教職員は「そうなのかな」という雰囲気で、特に対策が必要とは感じていませんでした。
いま思えば、あぐらをかいている状態でしたし、学校自体が保守的・公立学校的な思考だったと思います。


なんとかこの学校を変えたいと奮闘した先生もいました。
一方で、新たに着任した校長先生のトップダウンの判断で学校改革をするという動きもありました。
でも、教職員が一体となって納得する形で進めないと、学校改革はうまくいきません。

結局、変化はありませんでした。


紆余曲折を繰り返していくうちに、だんだんと教員同士の会話もなくなって、職員室の雰囲気がギスギスしている時代もありました
そうした雰囲気は生徒にも伝わってしまうし、良くないなとは思っていました。

でも、融和を図る手段が見つかりませんでした。
 

わたしの中でのターニングポイントの1つが、学校法人立命館との連携です。ここからようやく私立の学校らしい取り組みができるようになっていきました。
基山町との交流も始まり、東明館らしい独自の取り組みを増やしていきました。
 
そんな中で、2021年11月に神野元基先生が副校長に、2022年4月には校長に着任しました。神野校長とは、副校長着任時から密なコミュニケーションを取っています
 
神野校長は学校では、必ず生徒に笑顔を見せて手を振ってコミュニケーションを取ろうとしています。
非常にオープンな話しやすい雰囲気を作ってくれています。

東明館に関わる全ての皆さまへ

東明館には30年以上お世話になっています。
学校の経営体制が変わるなどして、多くの先生が東明館を離れていく姿を見てきましたが、他の学校に行こうとは一度も思ったことはありません

教員として、人間として成長の場を与えてくれた東明館は、何事も一生懸命打ち込める場所でした。
特に我慢をしたという覚えもありませんし、とにかく目の前のことに一生懸命取り組んだ結果が、いまの自分だと思っています。

とはいえ、若いときは結構無茶な取り組みをしていたこともありました。
当時の教頭先生や学年主任の先生は、私のしたことに対する後始末が大変だっただろうなと思います。

今は教頭の立場として、先生方のサポートを一生懸命できるかに注力をしています。先生たちも、いまの東明館の現状はよく分かっています。
時代に合わせた取り組みをする中で、不安や戸惑いもあると思います。
私自身も、不安や戸惑いが全くないのかと言われれば、決してそうではありません。

でも、あぐらをかいていて新しい取り組みをしなかった当時の自分に対し、「早くやらないといけないよ」と言ってあげたいです。東明館は私立の学校である以上、もっと挑戦し続ける環境を作っていかないと、時代に取り残されてしまうと思います

東明館はひとつの過渡期を迎えています
生徒ひとりひとりに向き合い、明るい未来をつくるために、東明館に関わってくださる全ての方々に、生徒の挑戦を応援していただければと思います

東明館が変わり続けるために「対話」が必要な理由

今年度から、私たちは定期的に対話の機会を設けています。
「生徒同士の対話の時間」 を毎月1 回、「教職員同士の対話の時間」を2 週間ごとに行っています。

「対話」は「議論」と違って、正解を出しません。
「議論」は設定されたテーマに対し、どの意見や主張が正しいかを導き出すものです。
一方、「対話」は大まかなテーマを決めるものの、正解は導きません。

対話には、いくつかのルールがあります。
・「否定も断定もしない」
・「沈黙を歓迎する」
・「アイディアをつなげる」

 など、全員が対等な立場で意見や考えを出し合います。
最初は「対話」に戸惑いや不安を見せる先生もいましたが、次第に慣れてきたようです。
20代から50代の先生が同じ目線で意見を出し合うのを見て、私が20代の時にこのような環境があっただろうかと、感慨深い思いになります。

対話では様々な意見が出ます。
以前は「私が意見を言っても、あまり意味がないのではないか」とブレーキをかける先生もいましたが、対話の場であればきちんと意見を述べてくれています。
これまでの東明館は話し合いが苦手な職員が少なくなかったので、意見を言う場を定期的に設けることができたのは非常に意義のあることだと感じています。

教職員同士で対話を重ねるうちに、私自身にも考えの変化が出てきました。「自分1人でしょわないほうが、うまくいくな」と思うようになりました。
学校の課題に対して、みんなで考えて、「どうしたらうまくいくだろう」と対話を重ねるほうが、結果的に物事が早く進みます。 

私自身も、神野校長から「何かありませんか。大丈夫ですか?」と声をかけてもらっています。
非常に言いやすい雰囲気を作ってくれているので、ちょっと報告しづらいことも含め、包み隠さず報告ができるようになりました。
 
教育の最先端を走る神野校長は、全国でも類を見ない数々の取り組みを私たちに提案してくれています
その提案に対し、最初は戸惑いもありましたが、「対話」を繰り返して意見を出し合うことで納得して取り組む先生も増えてきました。 

生徒・教職員の挑戦を応援する環境をつくる

こうした対話を通じて、生徒の挑戦を応援する環境を学校全体で整えていきたいです。 

もちろん挑戦の全てがうまくいくとは限りません。
でも、トライ&エラーを繰り返すことが大切だと思っています。
生徒の挑戦に対して、「大丈夫かな?」と感じることもあるのですが、敢えて口に出さず、まずは挑戦してみるように促していきます。
そうすることが次のステップへの布石につながっていくと思います。

学校は生徒がいないと成り立ちません
生徒たちの「やってみたい!」という気持ちを最大限尊重し、挑戦ができたことに対して大人たちが最大級の賛辞を贈ることで、学校に来るのが楽しみな状態にしていきたいですね。

生徒だけでなく、教頭として、教職員の挑戦も応援していきます。
生徒たちにも個性があるように、先生たちにも個性があります。
ICTを上手に活用する先生もいれば、話術に長けた先生もいますし、音響に詳しい先生もいます。
 
得意分野を活かすだけでなく、教頭としてもっと先生たちの得意なことを探して、それを他の先生の得意なことを掛けあわせて授業やイベントで活かしていく。
そんな教員集団を作っていこうと思います。